- バーコードで在庫を管理する仕組み
- 導入で変わることと、事前に知る注意点
- バーコード・QRコード・RFIDの違い
- 導入前に決めることと、5つの導入手順
- 定着させる運用のポイントと費用の考え方
在庫の出し入れを紙に書き、あとでパソコンに入力し直す。
品番や数量は、目で見て照らし合わせる。
そうした運用で、数字の写し間違いや、記録の遅れが出ていませんか。
バーコードの読み取りに置き換えると、書き写しや打ち込みの手間と、入力のミスを減らせます。
ただし効果は、何にバーコードを付け、どこで読み取るかという設計で決まります。
当社の製品や支援の事例も交えて、仕組みから導入手順、運用、費用の考え方までを整理します。
バーコードを使った在庫管理とは|読み取って入出庫の記録を残す仕組み

バーコードを使った在庫管理とは、モノや棚に付けたバーコードを読み取り、品番・数量・場所・日時を記録して、在庫数を更新する管理方法です。
仕組みは、次の3つの流れで成り立ちます。
- モノや棚にバーコードを付け、担当者用のバーコードも用意する
- 入庫・出庫・棚卸のたびに読み取り、数量を入力する
- 記録をパソコンに集め、在庫数を加算・減算する
バーコードに入れるのは、品番や棚番などの識別番号が中心です。
数量は、読み取りのあとに入力します。
読み取りには、持ち歩いて使う専用の端末(ハンディターミナル)や、パソコンにつなぐバーコードリーダーを使います。
記録をパソコンに集める方法には、端末にためてあとでまとめて送る方法と、無線LANで読み取りのたびにその場で送る方法があります。
どちらを選ぶかで、在庫数に反映されるタイミングが変わります。
当社のGENBA改善システム「iSTARTER®シリーズ」には、在庫管理システム「ZaiKo STARTER」があります。
入庫・出庫・棚卸の情報をハンディターミナルで取得し、パソコンへ転送して在庫を管理するシステムです。
転送すると、入庫は在庫に加算、出庫は減算、棚卸は在庫の修正として反映されます。
在庫数量や保管場所など、押さえておきたい4つの情報の全体像は、在庫管理を見える化する方法の解説記事で整理しています。
バーコードで在庫を管理するメリットと注意点

バーコードで在庫を管理すると、記録の手間と入力のミスが減ります。
一方で、ラベルの準備と運用ルールづくりの手間も生まれます。
導入で変わること
紙やExcelへの手入力は、品目や件数が増えると、書き写しや打ち込みの間違い、記録の遅れが起きやすくなります。
バーコードの読み取りに置き換えると、次の4点が変わります。
- 手入力が減る:品番や棚番を読み取れるため、打ち込みのミスが起きにくい
- 動きが記録に残る:誰が・いつ・何を動かしたかが、読み取りと同時に残る
- 棚卸が速くなる:数えた結果を読み取りと数量入力で記録でき、集計の入力を省ける
- 取り違えに気づける:入庫や出庫の予定データと照合すれば、品番の違いに気づける
検品での使い方は、ハンディターミナル検品の解説記事で詳しく扱っています。
事前に知っておきたい注意点
導入の前に、次の3点を見込んでおきます。
- ラベルの作成と貼り付け:品目や棚の数だけ、作って貼る手間が要る
- 費用と教育:機器・ラベル・システムの費用と、操作の説明が要る
- 読めない・貼られていないモノの扱い:汚れやはがれに備えた記録のルールが要る
バーコード・QRコード・RFIDの違い|管理したい情報で選ぶ

バーコード・QRコード・RFIDの違いは、読み取り方、一度に読める数、入れられる情報の量にあります。
3つの違いを、次の表にまとめます。
| 方式 | 読み取り方 | 一度に読める数 | 入れられる情報 | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|---|
| バーコード | 光を当て、白黒の反射の違いで読む | 基本は1つずつスキャナで読む | 品番など、数字や英字が中心の短い情報 | 品番や棚番のラベルを確認する場面 |
| QRコード | 光を当て、縦横の白黒の模様を読む | 基本は1つずつスキャナで読む | 数字・英字・漢字など、多めの情報 | ラベルが小さく、情報が多い場面 |
| RFID | 電波で、離れた場所のタグを読む | 複数のタグをまとめて読める | 識別番号から、書き換えできる情報まで | 棚卸など、大量のモノを数える場面 |
※バーコードは一方向だけに、QRコードなどの2次元コードは縦と横の両方向に情報を持ちます。
※RFIDは、電波を使ってタグ(ICチップとアンテナを持つ札)のデータを読み書きする仕組みです。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
バーコードには、商品に付いているJANコードを使える場合と、自社でコードを決める場合があります。
JANコードは、商品を供給する事業者が、商品ごとに設定する識別コードです。
自社でコードを決めるときに品番に英字が入るなら、Code 39やCode 128のように、英字を表せる種類を選びます。
QRコードは小さなスペースにも表示でき、汚れや破損があっても、誤り訂正の機能でデータを復元できる場合があります。
RFIDは、離れた場所から、短時間で多くのタグを読み取れるため、棚卸のように大量のモノをまとめて数える場面に向いています。
一方で、電波は金属の影響を受けやすいため、取り付ける物や置き場所に合わせて機器を選ぶ必要があります。
使う機器によっては、電波法に基づく免許の取得や登録申請も必要です。
貸出と返却を履歴に残す場面での使い方は、RFIDを使った貸出管理の解説記事で紹介しています。
導入前に決めること|コードを付ける単位と読み取る場面

導入前に決めるのは、何にコードを付けるか、どこで読み取るか、読めないときにどうするかの3つです。
何にコードを付けるかを決める
モノに付けるコードは、どこまで細かく区別して管理するかで決めます。
- 品番:品名ごとの在庫数を管理する基本の単位
- ロット:同じ品番を入庫や製造のまとまりで分ける単位
- 箱:箱を1つずつ識別する単位
保管場所も記録する場合は、棚にもコードを付け、品番と組み合わせて読み取ります。
単位を細かくするほど、ラベルを貼る手間と、読み取る回数が増えます。
JANコードが付いた既製品は、そのコードを読み取って使える場合があります。
付いていない部品、原材料、予備品は、自社でコードを決めてラベルを作ります。
当社の在庫管理システム「ZaiKo STARTER」の導入は、4つのステップで進みます。
マスタ(品番や棚番の一覧)の登録、バーコードの準備、読み取り、パソコンへの転送の順です。
バーコードの準備では、製品に直接貼りにくい場合、棚に貼るラベルや、品番のバーコードをまとめた冊子(バーコードブック)を印刷して使うこともできます。
既製品に付いているコードも、そのまま使えるとは限りません。
部品を扱う販売業のお客様では、メーカーごとにQRコードの中身が違っていました。
当社は、メーカーごとにQRコードの中から必要なデータを切り出す機能を加え、作業者がメーカーを意識せず、読み取るだけで出荷検品できるようにしました。
どこで読み取るかを決める
読み取る場面を入庫、出庫、棚卸の3つに分け、場面ごとに、読むラベルと残る記録を決めます。

- 入庫:棚ラベルと品番ラベルを読み、入庫数と保管場所を記録する
- 出庫:品番ラベルを読み、出庫数と担当者を記録する
- 棚卸:棚ラベルと品番ラベルを読み、実在庫数と差異を記録する
読めないときの扱いを決める
ラベルが汚れて読めない、貼られていない、数が合わない。
そうした場面は、運用を始めると出てきます。
読み取れないときは、品番を手入力して記録し、あとでラベルを再発行するのが基本の流れです。
そのために、次の3点を決めておきます。
- 手入力してよい人と、記録を残す場所
- ラベルを再発行する担当と、依頼の手順
- 数が合わないときに確認する人と、その手順
バーコード在庫管理の導入手順|一部の棚から試して広げる

導入では、困っている場面と対象を絞り、全品目に広げる前に、一部の棚で試します。
手順は5つです。
手順1|読み取る場面と対象の棚を決める
いちばん困っている場面を1つ選び、その場面に関わる棚や品目に絞ります。
入出庫の記録の遅れが課題なら入出庫を、実物との数のずれが課題なら棚卸を、最初の対象にします。
始める前に、転記や入力にかかる時間などを測って控えておきます。
手順2|品番・棚番とコードの対応を整える
品名、数える単位、棚番、コードの対応を、一覧(マスタ)にまとめます。
入出庫の記録から在庫数を管理するには、この一覧が欠かせません。
棚卸のデータを集めるところから始めるなら、一覧を事前に用意しなくても使えるシステムもあります。
手順3|ラベルを少し作り、試しに貼って読み取る
ラベルは、最初は少ない枚数だけ作ります。
実際の棚や箱に貼り、読み取れるかを確かめます。
今ある端末やバーコードリーダーを使う場合は、選んだ種類のコードを読めるかも確かめます。
ラベルの素材や貼る位置の決め方は、次の章で紹介します。
手順4|一部の棚で、読み取りから確認まで通して試す
対象を絞った棚で、ラベルの貼り付けから在庫数の確認までを通して試します。
使う人の意見を聞き、読み取りにくい場所や分かりにくい画面を洗い出して、ラベルの位置や手順に反映します。
手順5|運用のルールを決めて、対象を広げる
試した結果をもとに、読めないときの扱いやラベルの再発行などのルールを決め、文書にします。
試した棚の転記や入力の時間などを、手順1で測った数字と同じ条件で比べます。
効果と、運用を続けられることを確かめてから、対象の棚や品目を少しずつ増やします。
最初に試す棚と読み取る場面を、一緒に決めませんか
最初に試す棚、読み取る場面、ラベルの貼り方は、現場の広さや品目によって変わります。
当社は、現場のお話をうかがい、最初に試す範囲を決めるところからお手伝いします。

バーコード在庫管理を定着させる運用のポイント

定着させるには、ラベル、端末、例外の記録の3つを、運用のルールとして決めておきます。
ラベルの素材と貼る位置をそろえ、定期的に点検する
ラベルは、油、水、寒さ、こすれに耐える素材を選び、貼る位置も品番、箱、棚ごとにそろえます。
バーコードは周りの余白が足りないと読み取りにくくなるため、余白を空けて貼ります。
汚れやはがれは、棚卸の日などに合わせて点検します。
端末は充電台と予備機を用意し、通信できない場所の扱いを決める
端末は充電台の場所を決め、使い終わったら戻します。
故障や電池切れに備えて、予備機も用意します。
無線LANが届かない場所で使う場合は、端末に記録をためて、あとでまとめて送れる方式かを確かめておきます。
画面と手順は、誰が使っても同じ操作で済むよう統一します。
端末の機種の選び方は、倉庫管理でのハンディターミナルの選定ポイントを扱った記事で紹介しています。
手入力した例外を残し、棚卸で差異を確かめる
読めないときに手入力した記録は、数が合わないときに原因をたどれるよう、通常の読み取りと区別して残します。
棚卸のときは、記録上の数と実物を突き合わせて、差異を確かめます。
棚卸だけを先にバーコードで始める方法もあります。
棚卸管理システム「TanaOrosi STARTER」は、マスタを事前に準備しなくても運用できます。
数える品のバーコードを読み取り、数量を入力してパソコンに転送するだけで、棚卸のデータを集められます。
既存システムやExcelの在庫データを事前に用意すれば、理論在庫(帳簿上の在庫数)との突き合わせもできます。
費用の内訳と、導入前に記録したい数字

費用は4つの内訳に分けると、見積もりを比べやすくなります。
内訳は端末・ラベル・ソフトウェア・導入支援の4つ
- 読み取り端末:ハンディターミナルやバーコードリーダー
- ラベルの印刷:プリンターと、ラベルやリボンなどの消耗品
- ソフトウェア:パッケージの利用、現場に合わせたカスタマイズ、既存システムとの連携
- 導入の支援と教育:マスタの整備、試行の支援、使う人への操作の説明
プリンターは、今ある機器で足りる場合もあります。
リボンが要るかどうかは、印刷の方式で決まります。
金額は、端末の台数、無線環境の有無、既存システムとの連携、カスタマイズの範囲、対象の品目数によって変わります。
導入の前後で比べる数字
導入後の効果は、導入前の数字と比べると確かめられます。
導入前に、次の4つを記録しておきます。
- 転記や入力にかかる時間
- 照合ミスや誤出荷の件数
- 棚卸にかかる時間
- 帳簿と実物の差異
棚卸にかかる時間や差異の測り方は、在庫管理を見える化する方法の解説記事の「成果を確かめる指標」の部分で紹介しています。
よくある質問(FAQ)
- Qバーコードが付いていない部品や原材料も、バーコードで管理できますか?
- A
管理できます。
品番や棚番など自社で決めたコードをバーコードにして、ラベルを貼ります。
コードと品名の対応をマスタに登録すれば、読み取った結果が在庫数に結び付きます。
- QバーコードとQRコードは、どちらを選べばよいですか?
- A
品番や棚番のような短い情報なら、バーコードで足ります。
ラベルが小さい場合や、多めの情報を入れたい場合は、QRコードが向きます。
- Qラベルが汚れたり、はがれたりしたときはどうすればよいですか?
- A
読めなくなったラベルは再発行して貼り直し、それまでは品番を手入力して記録します。
汚れやすい場所では、素材を見直します。
まとめ:バーコードで在庫管理を始めるポイント

バーコードを使った在庫管理は、モノや棚に付けたコードを読み取り、入出庫と棚卸の記録を残す方法です。
効果が出るかどうかは、何にコードを付け、どこで読み取るかの決め方で変わります。
- コードを付ける単位と、読み取る場面を先に決める
- 読めないときの扱いと、ラベルの再発行を決めておく
- 一部の棚で試し、導入前の数字と比べてから広げる
バーコード在庫管理の進め方を、現場に合わせて相談したい方へ
対象にする棚の選び方から、ラベル、端末、運用ルールまで、当社が現場の事情に合わせてご相談を承ります。
困っている場面が定まっていない段階でも、ご相談いただけます。

参考資料
- GS1 Japan「バーコード」
- GS1 Japan「GS1事業者コード・GTIN(JANコード)とは」
- GS1 Japan「EPC/RFID(電子タグ)」
- デンソーウェーブ「QRコードとは」
- デンソーウェーブ「バーコードとは」
- デンソーウェーブ「2次元コードとは」
- 在庫管理を見える化する方法|把握したい4つの情報と進め方 — 関連記事(スノーピークビジネスソリューションズ)
- 製造業の誤出荷・誤ピッキングを防ぐハンディターミナル検品の解説 — 関連記事(スノーピークビジネスソリューションズ)
- 倉庫管理システム×人手不足を解決する現場改善策 — 関連記事(スノーピークビジネスソリューションズ)
- RFID貸出管理パッケージの解説(Excel管理との違いと工具・金型管理) — 関連記事(スノーピークビジネスソリューションズ)
